環境の大きな変化が認知症の原因の一つかも。信号を理解できず裸足で徘徊していた祖母。

 

田舎の家に帰りたがった、おばあちゃんの話し。

 

私の祖母は認知症でした。近所を徘徊しては、警察に何度も保護されました。

 

祖母は足腰も丈夫でスタスタと歩くことができます。会話もよく聞くとおかしいのですが、知らない人であれば普通に会話しているように思えます。

 

ニコニコしていて愛想もよく、大きな声を出したりはしません。住んでいたお家に帰りたいらしく、来る日も来る日も、通行人に声をかけて徘徊して歩き回り続けました。

 

 

子供たちと暮らし始めた。外出すると、何回教えても帰り道が分からなくなってしまう。

 

私の家族は4人家族。父と母、そして私と弟。当時、私と弟は小学生でした。北海道の田舎町でくらしていた父の祖父が亡くなりました。

 

高齢である祖母を一人田舎で生活さるわけにはいかず、私たちの家につれてきました。そして5人の同居が始まります。

 

父も母も仕事をしていました。私と弟は小学生。日中は祖母が一人で家で留守番をしています。

 

最初は買物をお願いしたり、庭の手入れをお願いしたりしていました。庭の手入れは普通にできるのですが、一旦外に出ると家がわからなくなって迷子になってしまいます。

 

何度も教えたのですが、どうしてもまた迷ってしまいます。両親に聞いたら、最近物忘れがひどくなってきているとのこと。

 

 

家に、いつも居てもらうようしたことがきっかけで、徘徊が始まった。

 

それで私たち家族は、おばあちゃんが、外に出ないように、家にいつも、いてもらうようにしました。

 

日中ずっと一人で家にいますから、やることがないのでしょう。戦争を経験している祖母は、7人もの子供を育て、畑を耕し働きずくめで生活してきた人です。

 

死んだ祖父がいた自分の田舎に家に帰りたいと言うようになりました。それから祖母の行動がおかしくなっていったのです。

 

私たちが気付かないうちに、一人で外出してしまいました。近所をさがしても見つからず、警察に届け出ました。

 

夜中に祖母は無事保護され、なんとかその日のうちに解決。初回の徘徊行為は大事に至ることなく、軽度の疲労のうちに終わりました。

 

 

信号を理解できなくなっていて、裸足で徘徊していたこともあり、家族は心配でなりませんでした。

 

しかし祖母は徘徊を繰り返します。日中は私と弟と祖母だけ家にいます。両親も施設に預けるお金もなかったのでしょう。

 

私たちは祖母が外出しないように見張りをいいつけられました。しかしまだ私たちは小学生。遊びたいさかりです。鍵を開けて外で遊んでいるうちに、祖母は外へ出てしまいます。
何度も探して連れ戻しました。これでは、友人と遊ぶ時間もありません。しだいに私たち子供にとってもストレスになっていきました。

 

捜し歩いて見つけた時、祖母は他人に○○村はどちらですか?とよく聞いて歩いていました。よほど帰りたかったのでしょう。

 

そこはとても歩いて帰れる場所ではありません。靴をはかず、裸足で徘徊していたこともあります。2?3日戻ってこなかった時もありました。

 

祖母は信号もよくわかっていませんので、本当に心配でした。

 

 

対策として、服に連絡先を書いた名札を付けたが、徘徊が止まるわけではない。

 

祖母の徘徊パターンを知って、私はある方法を思いつきました。心ある人が気付いて警察に届けてくれることを願い、祖母の服の後ろに住所と連絡先を記入した名札をつけるようにしました。

 

これで祖母が万が一、外出してしまっても相手をしてくれた人が気付いてくれるかもしれません。会話ができても内容がおかしいので、気付いて連絡をしてくれる人もいました。

 

しかし徘徊が減ることはありません。

 

警察や連絡がくるたび迎えに行く両親が不憫でなりませんでした。しかし当時の私たちは、他に方法が思いつかず、ただ祖母が倒れ亡くなるまでの7年ほど、このような生活をくりかえしていました。

 

 

環境が変わると、認知症になりやすい。

 

やさしかった祖母。ただ自宅に帰りたかったのだと思います。施設や息子の家で生活を余儀なくされ、認知症になるというケースは多いそうです。

 

夫や妻を先に亡くしてしまったというショックも大きいでしょう。自分の居場所を失ってしまうと、誰しも生命力に陰りが見え始めます。

 

やることがなくなり、必要とされなくなり、そして気持ちが沈んできます。高齢者などは特にそう感じるのではないでしょうか。

 

祖母はとにかく世話がやけました。今頃は祖父と一緒にゆったり天国で過ごしているのではないでしょうか。命日のたびに思い出します。

 

(管理人からコメント)
体験談、ありがとうございました。
連絡先など書いた名札をつけることは、いいアイディアかもしれないですが、今の個人情報に敏感な時代だと、あまりこうしたことをしている家庭は少ないかもしれないですね。
田舎とは違い、ベッドタウンなど、ちょっとした街や都会になると、ご近所のことを、まったく知らないというケースが多いです。
そのため、昔より、おばあちゃんがウロウロしてたら気を付けてほしいとか、連絡してほしいといった周囲に協力してもらうということが、しにくくなっているのではないでしょうか。
その代わり、様々なサービスが普及していますよね。
こちらの体験談を読ませていただいていると、認知症になるきっかけって、環境の変化の影響が大きいのかなって思いました。
住み慣れた我が家から離れて安心感を失ったり、仕事や家族の中での役割などがなくなることで、自分には価値があるという自信みたいなものがなくなってしまう心の変化などが認知症を引き起こす要因の一部になっているのかもしれないですね。